ハクビシン駆除は「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程で進む
ハクビシンの駆除は、
「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」
の3つの工程で進みます。
この順番どおりに進め、封鎖まで終えないと再び侵入される場合があります。
全体の流れや被害の見分け方はハクビシンの見分け方と駆除にまとめています。
ハクビシンは鳥獣保護管理法上の狩猟鳥獣(獣類)に指定されており(環境省)、
許可なく捕獲・殺傷することはできません。
そのため工程の入口には「許可の確認」が入り、自分の判断だけで捕獲から始めることはできません。
ハクビシンは夜行性で、日中は天井裏などで休みます。
このため、天井裏で物音がする時間帯や場所が、調査の手がかりになります。
作業の進む順番と、自治体のわな設置期間の上限
3つの工程は、前の作業が終わらないと次に進めない順番になっています。
追い出し・捕獲が済んでから清掃・消毒に入り、そのあとで侵入口を塞ぎます。
捕獲で対応する場合は、先に行政の許可手続きが入ります。
栃木市では、捕獲を始める10日前までに捕獲許可申請書を提出する必要があります(栃木市)。
わなは1日1回以上の見回りが義務づけられ、対象以外の動物がかかった場合は直ちに放獣します(栃木市)。
自治体の貸出制度を使う場合、町田市は最長3週間で延長できません。
狛江市は原則3週間、千葉市は原則設置日から1か月間、船橋市は最大8週間、横浜市は一人当たり2週間までです。
それぞれの条件は後の見出しでまとめています。
ハクビシンの出産期は3〜11月と長く(農林水産省)、天井裏で出産・育児をしている場合があるとされています(農林水産省)。
現地調査で確認されること
まず、天井裏や屋根裏で音がする場所、ため糞のある場所、侵入口になりそうな隙間を確認します。
ハクビシンは同じ場所に排泄する習性(ためフン)があり、天井のシミや悪臭の原因になります。
家屋に侵入して糞尿を排泄するため、天井のシミ汚れや異臭が生じる場合が多いとされています(環境省生物多様性センター)。
ハクビシンは、幅6センチ×高さ12センチ程度の隙間があれば屋内に侵入できるとされています(農林水産省)。
一辺8センチの正方形、直径9センチの円形の開口部から侵入できるとする業者の案内もあります(ホームスター)。
通風口などからの侵入が多く、壁の隙間の有無が侵入されやすさに影響するとされています(農林水産省)。
昭和30年代中頃から40年代後半に建築された建物で、侵入率が最も高いとされています(農林水産省)。
天井裏のフンや物音に心当たりがある場合は、フンがあるや音がするから状況を確認できます。
見積りで見る項目
見積りを取るときは、追い出し・捕獲、清掃・消毒、侵入口の封鎖のうち、どこまでが含まれているかを確認します。
清掃・消毒や封鎖が別料金になっていないか、事前の確認が必要です。
封鎖する箇所の数と場所が、見積書に具体的に書かれているかも確認点です。
作業後に再発した場合、どのような対応になるかも聞いておきます。
金額の判断材料は費用の考え方にまとめています。
追い出しと捕獲|許可が要る作業と、要らない作業の境目
ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象で、許可なく捕獲・殺傷することはできません。
許可なく鳥獣を捕獲した場合、鳥獣保護管理法違反として罰則を受ける可能性があります(栃木市)。
東京都は、許可のない捕獲は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になると案内しています(東京都環境局)。
捕獲許可の申請先は市区町村または都道府県の担当課で、被害状況の説明が求められます。
東京都内では、23区内は東京都環境局、多摩地区は東京都多摩環境事務所が申請先です(東京都環境局)。
上尾市は、被害がある場合のみ捕獲許可の対象で、目撃だけでは捕獲できないとしています(上尾市)。
住みつかせないための追い出しと、捕獲は別の行為です。
捕獲に当たる行為が、許可の対象になります。
忌避での追い出しをどこまで当てにするか
唐辛子に含まれるカプサイシンの匂いを嫌う傾向があるとされ、これを使った忌避剤が市販されています(害獣対策の窓口)。
超音波装置は、1種類の音だけでは慣れてしまう可能性があると、駆除業者自身が案内しています(害獣対策の窓口)。
超音波が届く範囲には限界があり、1か所に置くだけでは足りない場合があるとも案内されています(害獣対策の窓口)。
装置によって対象の動物が異なるため、ハクビシンに有効かどうかは事前の確認が必要です(害獣対策の窓口)。
忌避は、封鎖までの間の一時的な措置です。
封鎖をしないと再発するという前提は変わりません。
ハクビシンを殺してもいいですか?
できません。
ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象で、許可なく捕獲・殺傷することはできません。
許可なく捕獲した場合、鳥獣保護管理法違反として罰則を受ける可能性があります(栃木市)。
東京都は、許可のない捕獲は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になると案内しています(東京都環境局)。
許可を取るには、市区町村または都道府県の担当課に被害状況を説明する必要があります。
なお、ハクビシンは特定外来生物ではありません。
環境省の特定外来生物等一覧にも記載がありません(環境省)。
政府は、現行の基本方針上、ハクビシンを特定外来生物に指定することは考えていないと答弁しています(衆議院答弁書 2019年5月31日)。
ただし、2015年公表の生態系被害防止外来種リストでは、重点対策外来種として掲載されています(環境省生物多様性センター)。
ハクビシンは昼間どこにいる?|調査の時間帯が決まる理由
ハクビシンは夜行性で、日中は天井裏などで休みます。
国立環境研究所は、昼間は樹洞・岩穴・人家の屋根裏等で休憩するとしています(国立環境研究所)。
木登りが得意で、屋根や電線から侵入します。
前肢・後肢とも丸形の5本指で分厚い肉球を持ち、これを押し付けて挟むように上り下りするため、雨樋のような滑らかな柱でも登れます(農林水産省)。
明確な縄張りを持たず、複数のねぐらを他個体と共同または時間差で使うことがあります(農林水産省)。
ただし、天井裏の音が必ずしも動物によるものとは限りません。
木造住宅では、冬の乾燥時や天井裏と室内の温度差が大きい時に、木材の乾燥による軋み音が数年にわたり生じることがあり、これは施工上の瑕疵ではなく木材の自然な性質による可能性があるとされています(住まいるダイヤル)。
マンションでは、給排水管のウォーターハンマー音や、ポンプ・エレベーターの振動が固体伝搬音として聞こえる例も報告されています(住まいるダイヤル)。
天井のシミや水音も、雨漏りではなく室内外の温度差による結露が原因の場合があります(住まいるダイヤル)。
住まいるダイヤルは国土交通大臣指定の住宅相談窓口で、住宅の不具合に関する電話・専門家相談を無料で受け付けています(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)。
音の聞き分け方は屋根裏で音がする。正体を音から絞るで詳しく確認できます。
清掃・消毒|ため糞の処理と、体調に不安が出たとき
追い出し・捕獲のあとに、清掃・消毒の工程が入ります。
ハクビシンはねぐらなどにため糞をする習性があり、通路上の側溝や溜まり水にも糞をする場合があります(国立環境研究所)。
ノミやダニが付いており、それらが媒介する病気があるとされています(農林水産省)。
東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンが媒介する主な感染症として、レプトスピラ症、E型肝炎、サルモネラ感染症、疥癬などを挙げています(東京都環境局)。
清掃・消毒の作業中や作業後に体調に不安が出た場合は、医療機関へ相談してください。
なお、自治体の捕獲事業を使った場合でも、清掃・消毒は自己負担になる例があります。
町田市・板橋区・目黒区は、いずれも清掃・消毒を事業の対象外としています。
侵入口の封鎖|ここを飛ばすと戻ってくる
封鎖をしないと、再発します。
幅6センチ×高さ12センチ程度の隙間があれば侵入できるため、封鎖漏れがあると再び侵入されます(農林水産省)。
中にいる状態で侵入口を塞ぐと、閉じ込めることになります。
天井裏で出産・育児をしている場合もあります(農林水産省)。
封鎖は、出ていったことを確認してから行う工程です。
通風口などからの侵入が多く、壁の隙間の有無が侵入されやすさに影響します(農林水産省)。
雨樋のような滑らかな柱も登れるため、地上からの経路だけでなく、屋根まわりの開口も封鎖の対象になります(農林水産省)。
明確な縄張りを持たず複数のねぐらを使うため、1頭を追い出しても、別の個体が同じ開口から入ることがあります(農林水産省)。
自治体の捕獲事業では、侵入口の封鎖が対象外になっている例があります。
町田市・板橋区・目黒区は、いずれも封鎖を事業の対象外としています。
ハクビシンが来なくなる方法はありますか?
侵入口を塞ぐことが、来なくさせるための工程です。
封鎖をしないと再発します。
ハクビシンは雑食性で、果実や種子を好み、昆虫類、魚類、残飯なども食べます(国立環境研究所)。
果実を好むため、庭の果樹や生ゴミが誘引になる場合があります。
生後3か月で成獣と同程度の体重になり、出産期は農林水産省で3〜11月、国立環境研究所で3〜12月(産子数1〜4頭)とされています。
出産期が長いため、繁殖のたびに定着が進む可能性があります。
忌避剤や超音波は、封鎖の代わりにはなりません。
超音波は1種類の音だけでは慣れてしまう可能性があると、業者自身が案内しています(害獣対策の窓口)。
自治体の制度を使う場合の流れ|名前の出ている市区の条件
町田市は、アライグマ・ハクビシン防除事業として、わなの設置・捕獲・処分を無料で行っています。
消毒と侵入口の封鎖は自己負担で、わなの設置期間は最長3週間、延長はできません(町田市)。
町田市は、民間業者の相談先として公益財団法人東京都ペストコントロール協会(03-3254-0014)を案内しています(町田市)。
板橋区は平成29年度からハクビシン・アライグマの捕獲駆除事業を行っています。
侵入路の封鎖、ふん尿の撤去、消毒は区の事業の対象外で、自分で業者へ依頼する必要があります(板橋区)。
目黒区は箱わなの貸出と捕獲動物の回収費用を負担しますが、糞尿の清掃・消毒と侵入口の封鎖は自己負担です。
区内在住・糞尿被害の実在・立会いが条件で、年度1回限りです(目黒区)。
横浜市は住居内への侵入被害に限り、市契約業者による捕獲・回収を無料で行います。
庭での目撃や池の被害は対象外で、一人当たり2週間まで、年1回限りです(横浜市)。
船橋市はアライグマ・ハクビシン限定の捕獲用ワナを無料貸出し、設置期間は最大8週間です(船橋市)。
千葉市は生活被害を受けた人を対象に箱ワナを貸し出し、貸出期間は原則設置日から1か月間です(千葉市)。
狛江市の箱わな貸出は、1日1回以上の見回りが条件で、貸出期間は原則3週間です(狛江市)。
戸田市は箱わなによる捕獲を無料で実施しますが、初回設置時を除きエサは利用者が用意します(戸田市)。
八王子市は、獣害対策課がアライグマ・ハクビシン捕獲用の箱わなを貸し出しています(八王子市)。
栃木市では捕獲開始の10日前までに捕獲許可申請書の提出が必要で、わなは1日1回以上の見回りが義務づけられています。
対象以外の動物がかかった場合は、直ちに放獣します(栃木市)。
上尾市は、屋内への住み着き等で市が対応できない場合、防除業者への相談が必要で費用は自己負担と明記しています。
また、被害がある場合のみ捕獲許可の対象で、目撃のみでは捕獲できないとしています(上尾市)。
自治体の制度は、年度で変わることがあります。
この記事で条件を確認したのは、上に名前を挙げた市区だけです。
ほかの市区町村に同じ事業があるかは確認していません。
お住まいの市区町村の担当課で、対象の動物と条件を確認してください。
制度の探し方は自治体の制度にまとめています。
賃貸・アパートの場合、誰が手配して誰が払うのか
賃貸住宅の場合、費用負担は管理会社または貸主との取り決めによります。
入居者が独断で業者を手配する前に、まず管理会社または貸主へ連絡する順番になります。
連絡では、音がする場所と時間帯、ため糞や天井のシミの位置を伝えます。
駆除は「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程に分かれます。
どの工程の費用を誰が負担するかは、工程ごとに確かめておく必要があります。
町田市・板橋区・目黒区の事業では、清掃・消毒と侵入口の封鎖が対象外です。
制度を使う場合も、対象外の工程の負担先は別に確認が要ります。
マンションでは、給排水管のウォーターハンマー音が聞こえる例が報告されています(住まいるダイヤル)。
ポンプやエレベーターの振動が、固体伝搬音として聞こえる例もあります(住まいるダイヤル)。
