先に結論。天井裏の駆除は、点検口を開けて何がいるか確かめるところから始まる
天井裏で物音がしたら、まず押入れやクローゼット、ユニットバスの天井にある点検口を開けて中を確かめます。
懐中電灯で照らし、糞のかたまりがないかを見るのが最初の一手です。
ハクビシンは夜行性で、日中は天井裏などで休みます。
国立環境研究所も、昼間は樹洞・岩穴・人家の屋根裏等で休憩するとしています。
姿が見えなくても、同じ場所に排泄するためフンの習性があるため、糞のかたまりが見つかれば住みついている手がかりになります。
家屋に侵入して糞尿を排泄するため、天井のシミ汚れや異臭が生じる場合が多いとされています(環境省生物多様性センター)。
ハクビシンは顔の中央に鼻から額にかけて白い線が通り、全長は約90〜140センチ、足が短い大型の獣です。
見た目の特徴や生態の全体像は、ハクビシンの見分け方と駆除にまとめています。
この記事では、点検口を開けたあとに天井裏の内側でやることに絞って書きます。
その音と天井のシミは、本当にハクビシンのものか
駆除を頼む前に、動物以外の可能性を外しておくと無駄な依頼を避けられます。
木造住宅では、冬の乾燥時や天井裏と室内の温度差が大きい時に、木材の乾燥による軋み音が数年にわたり生じることがあります(住まいるダイヤル)。
この軋み音は必ずしも施工上の瑕疵ではなく、木材の自然な性質による可能性があるとされています。
マンションでは、給排水管のウォーターハンマー音や、ポンプ・エレベーターの振動が固体伝搬音として聞こえる例も報告されています。
天井のシミや水音についても、雨漏りではなく室内外の温度差による結露が原因の場合があります。
こうした住宅の不具合は、国土交通大臣指定の住宅相談窓口である住まいるダイヤルで、電話・専門家相談を無料で受け付けています。
点検口から糞が見つかるかどうかが、動物か建物かを分ける最初の分かれ目になります。
音の特徴からさらに正体を絞りたい場合は、屋根裏で音がする。正体を音から絞るや音がするも参考にしてください。
天井裏に上がって確かめるとき、体につくものがある
天井裏は断熱材で仕切られた暗い空間で、確認のために自分で上がる人もいますが、体につくものがあることを知っておく必要があります。
農林水産省は、ハクビシンにはノミやダニが付いており、それらが媒介する病気があるとしています。
東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンが媒介する主な感染症として、レプトスピラ症、E型肝炎、サルモネラ感染症、疥癬などを挙げています。
糞や巣材に触れたあとに体調の変化があれば、天井裏に動物がいたことを伝えたうえで医療機関にかかってください。
天井裏に入るときは、手袋・マスクなど肌と口を覆うものを用意し、汚れてもよい服で入ることが最低限の備えになります。
糞の状態を確認したら、フンがあるも合わせて確認しておくと、被害の把握がしやすくなります。
天井裏のため糞と、そのあとに残る清掃・消毒
ハクビシンには、ねぐらなどにため糞をする習性があり、通路上の側溝や溜まり水にも糞をする場合があります(国立環境研究所)。
糞尿によって天井のシミ汚れや異臭が生じる場合が多く、臭いが残ると再び寄りつく手がかりになりうるとされています。
駆除作業は「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程に分かれています。
清掃・消毒は追い出しとは別の作業として、そのまま残ります。
追い出しただけで終わったつもりになると、シミや臭いはそのまま残ることになります。
糞の写真や場所を記録しておくと、自治体や業者に被害の状況を説明するときに使えます。
侵入口の特定や塞ぎ方については、ハクビシンが屋根裏にいる時で扱っています。
天井裏で子育てしている時期に当たっていないか
天井裏の音が、子育て中の親子である可能性もあります。
農林水産省は、ハクビシンが天井裏で出産・育児をする場合があるとしています。
繁殖期を1〜9月、出産期を3〜11月と推定し、ほぼ年間を通じて繁殖するとしています(農林水産省)。
国立環境研究所は出産期を3〜12月、産子数を1〜4頭としており、機関によって時期の幅に差があります。
生後3か月で成獣と同程度の体重になるとされています(農林水産省)。
明確な縄張りを持たず、複数のねぐらを他個体と共同または時間差で使うことがあるため、音が止んでも別の個体が使っている場合があります。
音が止んだからといって、すぐに空になったと判断できるわけではない点は覚えておいてください。
ハクビシンの弱点は何ですか?|天井裏で市販品を使うときに起きること
唐辛子に含まれるカプサイシンの匂いを嫌う傾向があるとされ、これを使った忌避剤が市販されています(害獣対策の窓口)。
超音波装置についても市販されていますが、1種類の音だけでは慣れてしまう可能性があると、駆除業者自身が案内しています(害獣対策の窓口)。
超音波が届く範囲には限界があり、1か所に置くだけでは足りない場合があると案内されています。
天井裏は梁や断熱材で仕切られた広い空間で、装置1台の音が隅々まで届くとは限りません。
装置によって対象の動物が異なるため、ハクビシンに有効かどうかを事前に確認する必要があります。
ハクビシンは分厚い肉球を押し付けて挟むように上り下りするため、雨樋のような滑らかな柱でも登れます(農林水産省)。
高さや面のなめらかさは、侵入を防ぐ障害になりにくいとされています。
ネズミ向けの装置との違いは、ネズミが嫌がる音は効くのかでも触れています。
音で追い出す装置をどう見るか
音への慣れと届く範囲という2つの限界を踏まえ、置いて終わりにしないことが大切です。
定期的に位置や種類を見直す前提で使う道具だと考えておくと、期待外れになりにくくなります。
天井裏の被害に、自治体の制度は使えるのか
ここで挙げるのは、以下に名前を出した市区の制度だけです。
ほかの市区町村に同じ事業があるかは確認していません。
お住まいの市区町村の担当課で、対象の動物と条件を確認してから使ってください。
制度の一覧は自治体の制度にまとめています。
捕獲まで市区がやる例(町田市・横浜市・目黒区)
町田市はアライグマ・ハクビシン防除事業として、わなの設置・捕獲・処分を無料で行っています。
ただし消毒と侵入口の封鎖は自己負担で、わなの設置期間は最長3週間、延長はできません。
横浜市は住居内への侵入被害に限り、市契約業者による捕獲・回収を無料で行います。
庭での目撃や池の被害は対象外で、一人当たり2週間まで、年1回限りです。
目黒区は箱わなの貸出と捕獲動物の回収費用を負担しますが、糞尿の清掃・消毒と侵入口の封鎖は自己負担です。
区内在住・糞尿被害の実在・立会いが条件で、年度1回限りとなっています。
天井裏の清掃・消毒・封鎖が対象外になる例(板橋区・上尾市)
板橋区は平成29年度からハクビシン・アライグマの捕獲駆除事業を行っていますが、侵入路の封鎖、ふん尿の撤去、消毒は区の事業の対象外です。
これらは自分で業者へ依頼する必要があります。
上尾市は、屋内への住み着き等で市が対応できない場合、防除業者への相談が必要で費用は自己負担と明記しています。
また上尾市は、ハクビシンは被害がある場合のみ捕獲許可の対象で、目撃のみでは捕獲できないとしています。
町田市は民間業者の相談先として、公益財団法人東京都ペストコントロール協会(03-3254-0014)を案内しています。
天井裏に自分でわなを置く場合、許可が要る
鳥獣保護管理法により、対象となる鳥獣は許可なく捕獲・殺傷することができません。
ハクビシンは狩猟鳥獣に指定されていますが、これは誰でも自由に捕まえてよいという意味ではありません。
捕獲許可の申請先は市区町村または都道府県の担当課で、被害状況の説明が求められます。
栃木市では捕獲開始の10日前までに捕獲許可申請書の提出が必要で、わなは1日1回以上の見回りが義務づけられています。
対象以外の動物がかかった場合は、直ちに放獣することになっています。
東京都は、許可のない捕獲は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になると案内しています。
自分でやる範囲と、業者に任せる範囲の切れ目
点検口からの確認、糞の場所の記録、担当課への連絡までは、自分でできる範囲です。
一方で、天井裏に入っての清掃・消毒と、封鎖をしないと再発するという3工程の関係から、途中で止めると同じ状態に戻ります。
追い出しだけで作業が終わったと思わないことが、いちばんの分かれ目になります。
業者に問い合わせる際は、天井裏に人が入って作業するのか、清掃・消毒までやるのかを、見積りの段階で確認してください。
自治体の事業を使う場合でも、消毒や封鎖が自己負担として残る市区があります(町田市・板橋区・目黒区)。
制度と業者、どちらを使う場合でも、残る作業の範囲を先に把握しておくと後戻りが少なくなります。
