ハクビシンは日本にいる?|2018年時点で37都府県に分布している
ハクビシンは日本に生息しています。
環境省は2018年時点で、北海道・山口県・九州沖縄地方の計10道県を除く37都府県で生息分布情報が得られているとしています。
分類は哺乳綱 食肉目(ネコ目)ジャコウネコ科で、学名はPaguma larvata(国立環境研究所 侵入生物データベース)。
日本に生息するジャコウネコ科の動物として知られています。
遺伝子解析の結果、日本のハクビシンは台湾などから入ってきた外来種と結論づけられています(環境省生物多様性センター)。
被害報告は年々増加しており、被害発生地域は都市部で拡大しているとされます(同)。
見分け方や駆除の全体像を先に知りたい方は、ハクビシンの見分け方と駆除にまとめています。
ハクビシンはなぜ日本にいますか?|江戸時代の記録と、戦時中の毛皮用
原産地はヒマラヤ、中国南部、台湾、マレー半島、スマトラ、ボルネオとされています(国立環境研究所 侵入生物データベース)。
江戸時代に持ち込まれた記録があり、戦時中にも毛皮用に持ち込まれたとされます(同)。
1943年に静岡県で初めて記録され、当時は東北・東海・四国の3地域に不連続な分布域がありました(環境省生物多様性センター)。
江戸時代から戦時中にかけて複数回持ち込まれ、1943年時点では3つの地域に分かれていた分布が、時間をかけてつながり広がり、現在は37都府県まで達しています。
この時間の流れを見ると、自分の地域に分布情報があるかどうかが確認の目安になります。
日本のハクビシンはどこにいる?|山だけでなく住宅街にも出る
国立環境研究所は、昼間は樹洞・岩穴・人家の屋根裏等で休憩するとしています。
夜行性で、日中は天井裏などで休みます。
木登りが得意で、屋根や電線から侵入します。
分厚い肉球を押し付けて挟むように上り下りするため、雨樋のような滑らかな柱でも登れます(農林水産省)。
前肢・後肢とも丸形の5本指で、分厚い肉球を持っています(農林水産省)。
明確な縄張りを持たず、複数のねぐらを他個体と共同または時間差で使うことがあります(農林水産省)。
一度追い出しても、別の個体が同じ場所を使うことがあるという点は、住まいの対策を考えるうえで覚えておきたい性質です。
家のどこから入るか|幅6センチ×高さ12センチの隙間
農林水産省は、幅6センチ×高さ12センチ程度の隙間があれば屋内に侵入できるとしています。
一辺8センチの正方形、直径9センチの円形の開口部から侵入できるとする業者の案内もあります(害獣駆除専門業者ホームスター)。
通風口などから住居内へ侵入する場合が多く、壁の隙間の有無が侵入されやすさに影響します(農林水産省)。
農林水産省は、昭和30年代中頃から40年代後半に建築された建物で侵入率が最も高いとしています。
建築年が古い住宅ほど隙間が生じやすいため、該当する方は早めに点検しておくと安心です。
侵入口の具体的な塞ぎ方はハクビシン対策で扱っています。
日本のハクビシンはどんな姿か|鼻から額に白い線が1本
顔の中央に鼻から額にかけて白い線が通ります。
体色は灰褐色で、顔面と四肢の下部は黒褐色、額下部から鼻先の中央に白線が入ります(国立環境研究所)。
頭から尾の先までの長さは90〜110センチで足が短いとされます(町田市)。
一方、全長は約90〜140センチで、害獣のなかでは大型に分類されるという案内もあります(害獣対策の窓口)。
国立環境研究所は頭胴長をメス61センチ・オス66センチ、尾長40センチ、体重約3キロとしています。
頭胴長61〜66センチに対し尾長40センチと、体に対して尾が長いことも特徴のひとつです。
似た動物との見分けはアナグマとハクビシンの見分け方、テン・イタチとハクビシンの見分け方で確認できます。
日本のハクビシンは何を食べ、いつ増えるのか
雑食性で果実や種子を好み、昆虫類、魚類、残飯等も食べます(国立環境研究所)。
果実を好むため、家庭菜園や果樹の被害も出ます。
国立環境研究所は出産期を3〜12月、産子数を1〜4頭としています。
一方、農林水産省は繁殖期を1〜9月、出産期を3〜11月と推定し、ほぼ年間を通じて繁殖するとしています。
出産期の幅には出典によって差がありますが、いずれも春から冬にかけて広い時期に及ぶ点は共通しています。
生後3か月で成獣と同程度の体重になります(農林水産省)。
天井裏で出産・育児をする場合もあります(農林水産省)。
天井裏で物音が続く時期は、出産・育児と重なっている場合があります。
ハクビシンの何がやばいのですか?|ため糞・天井のシミ・ノミダニ
同じ場所に排泄する習性(ためフン)があり、天井のシミや悪臭の原因になります。
ねぐらなどにため糞をする習性があり、通路上の側溝や溜まり水にも糞をする場合があります(国立環境研究所)。
家屋侵入により糞尿を排泄するため、天井のシミ汚れや異臭が生じる場合が多いとされます(環境省生物多様性センター)。
農林水産省は、ノミやダニが付いており、それらが媒介する病気があるとしています。
東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンが媒介する主な感染症として、レプトスピラ症、E型肝炎、サルモネラ感染症、疥癬などを挙げています。
体調に不安が出た場合は、医療機関へ相談してください。
令和5年度の全国の農作物被害額は約3億6500万円、被害面積は約0.3千ヘクタールにのぼります(農林水産省)。
ハクビシンは日本にいてはいけない動物なのか|外来種だが特定外来生物ではない
遺伝子解析の結果、日本のハクビシンは台湾などから入ってきた外来種と結論づけられています(環境省生物多様性センター)。
一方で、ハクビシンは特定外来生物に指定されていません。
環境省の特定外来生物等一覧にも記載がありません。
政府は、現行の基本方針上、ハクビシンを特定外来生物に指定することは考えていないと答弁しています(衆議院 答弁書 2019年5月31日)。
特定外来生物ではないものの、2015年公表の生態系被害防止外来種リストでは重点対策外来種として掲載されています(環境省生物多様性センター)。
また、ハクビシンは鳥獣保護管理法上の狩猟鳥獣(獣類)に指定されています(環境省)。
同じく家に出る動物でも、アライグマは特定外来生物に指定され、生きたままの運搬・飼養・放出が禁止されている点が異なります。
ハクビシンを見かけたらどうしたらいいですか?|捕まえる前に許可が要る
鳥獣保護管理法により、対象となる鳥獣は許可なく捕獲・殺傷することができません。
捕獲許可の申請先は市区町村または都道府県の担当課で、被害状況の説明が求められます。
東京都は、許可のない捕獲は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になると案内しています(東京都環境局)。
東京都内の申請先は、23区内が東京都環境局、多摩地区が東京都多摩環境事務所です(同)。
栃木市も、許可なく鳥獣を捕獲した場合は鳥獣保護管理法違反として罰則を受ける可能性があるとしています。
上尾市は、ハクビシンは被害がある場合のみ捕獲許可の対象で、目撃のみでは捕獲できないとしています。
駆除作業は「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程に分かれ、封鎖をしないと再発します。
詳しい進め方はハクビシンを見つけたらで確認できます。
日本の自治体がやっているハクビシンの捕獲事業|名前の出ている市区の条件
町田市はアライグマ・ハクビシン防除事業として、わなの設置・捕獲・処分を無料で行います。
消毒と侵入口の封鎖は自己負担で、わなの設置期間は最長3週間、延長はできません。
民間業者の相談先として公益財団法人東京都ペストコントロール協会(03-3254-0014)も案内しています。
板橋区は平成29年度からハクビシン・アライグマの捕獲駆除事業を行っていますが、侵入路の封鎖、ふん尿の撤去、消毒は対象外で自分で業者へ依頼する必要があります。
目黒区は箱わなの貸出と回収費用を負担しますが、清掃・消毒と封鎖は自己負担で、区内在住・被害の実在・立会いが条件、年度1回限りです。
横浜市は住居内への侵入被害に限り市契約業者が無料で対応しますが、庭での目撃や池の被害は対象外で、一人2週間まで年1回限りです。
船橋市はアライグマ・ハクビシン限定の箱わなを最大8週間、千葉市は生活被害のある人へ原則1か月間貸し出します。
狛江市は1日1回以上の見回りを条件に原則3週間、戸田市は初回を除きエサは利用者負担で貸し出します。
栃木市は捕獲開始の10日前までに申請が必要で、1日1回以上の見回りが義務づけられ、対象外の動物がかかった場合は直ちに放獣します。
八王子市は獣害対策課が箱わなを貸し出しています。
上尾市は、屋内への住み着き等で市が対応できない場合、防除業者への相談が必要で費用は自己負担と明記しています。
**ここで挙げたのは名前を出した市区の事業です。**ほかの市区町村に同じ事業があるかは確認していません。
お住まいの市区町村の担当課で、対象の動物と条件を確認してください。
自治体の制度は年度で変わることがあります。
詳しくは自治体の制度もあわせてご覧ください。
それは本当にハクビシンか|日本の家に出る、似た動物
顔の中央に鼻から額にかけて1本の白い線が通るのが、ハクビシンの特徴です。
ネズミ(クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミ)は鳥獣保護管理法の対象外で、自力で駆除できます。
コウモリは鳥獣保護管理法の対象で、捕獲・殺傷はできず、追い出しと侵入口の封鎖で対応します。
ただし冬眠期(おおむね12〜3月)は追い出しができないため、作業時期が限られます。
アライグマは特定外来生物に指定されており、生きたままの運搬・飼養・放出が禁止されています。
相手が違うと、できる作業と必要な手続きが変わります。
見分けに迷う場合は、アナグマとハクビシンの見分け方、テン・イタチとハクビシンの見分け方、フンがあるもあわせて確認してください。
音やシミが動物とは限らない|住まいの側に原因があることもある
木造住宅では、冬の乾燥時や天井裏と室内の温度差が大きい時に、木材の乾燥による軋み音が数年にわたり生じることがあります(住まいるダイヤル)。
この軋み音は必ずしも施工上の瑕疵ではなく、木材の自然な性質による可能性があるとされます(同)。
マンションでは給排水管のウォーターハンマー音や、ポンプ・エレベーターの振動が固体伝搬音として聞こえる例も報告されています(同)。
天井のシミや水音が雨漏りではなく、室内外の温度差による結露が原因の場合もあります(同)。
音だけで動物と決めつける前に、こうした可能性も考えられます。
住まいるダイヤルは国土交通大臣指定の住宅相談窓口で、住宅の不具合に関する電話・専門家相談を無料で受け付けています。
音の種類から絞り込みたい方は、屋根裏で音がする。正体を音から絞る、音がするもご覧ください。
日本でハクビシンが家に出たとき、どこまで自分でやるか
捕獲には許可が要り、許可なく捕獲した場合は罰則を受ける可能性があります。
名前を挙げた市区の事業でも、消毒・ふん尿の撤去・侵入口の封鎖は自己負担になっている例があります(町田市・板橋区・目黒区)。
賃貸住宅の場合、費用負担は管理会社または貸主との取り決めによります。
封鎖をしないと再発するため、「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程のどこまでを自分でやるかが判断の分かれ目になります。
天井裏の確認作業はハクビシン駆除は天井裏で何をするかで扱っています。
