先に結論。まず科で分ければ、見分けは2段階で済む
ハクビシンはジャコウネコ科、テンとイタチはイタチ科に属します。
見分けの第一歩は、額から鼻先にかけて細い白い線が1本通っているかどうかです。
線があればハクビシンの可能性が高いですが、農林水産省は鼻筋が白いアナグマと間違われることがあると指摘しています。
線が無い場合は、次にテンかイタチかを見ることになります。
より詳しい駆除方法まで知りたい方は、ハクビシンの見分け方と駆除をご覧ください。
一段目。ハクビシンかどうかは顔と尾で決まる
額から鼻先に通る白い線
国立環境研究所によると、ハクビシンは体色が灰褐色で、額下部から鼻先の中央に白線が入るとされています。
一方で、テンやイタチに白い線が無いとする出典は確認できていません。
農林水産省の資料では、テンの毛色は季節で変わり、冬毛は顔が白く体が明るい黄色になるとされています。
そのため、見るべきポイントは「顔が白いかどうか」ではなく、「細い線が1本通っているかどうか」です。
尾が胴の半分以上あるか
国立環境研究所は、ハクビシンの頭胴長をメス61センチ・オス66センチ、尾長40センチとしています。
同研究所は、ホンドテンの頭胴長を45センチ、尾長を19センチとしています。
尾の長さを胴の長さと比べると、印象だけに頼らずに判断しやすくなります。
体の大きさ
ハクビシンはテンより明確に大きい体格です。
ハクビシンの全長について、害獣対策の窓口は約90〜140センチとしており、町田市は頭から尾の先までの長さを90〜110センチとしています。
出典によって数値に幅がありますが、テンよりひとまわり以上大きい点は共通しています。
二段目。白い線が無かった場合
白い線が無ければ、テンかイタチかの判別に進みます。
国土交通省太田川河川事務所は、テンの尾を太いとしています。
イタチについては、胴が細長い体つきで、環境省の資料では尾長が頭胴長の半分以上ある個体はチョウセンイタチと判別されるとされています。
体格の面では、国立環境研究所によると、ホンドテンはニホンイタチのオスより体長・体重ともに明確に大きいとされています。
テンとイタチの詳しい違いは、テンとイタチの違いで扱っています。
季節で毛色が変わる。冬に見た姿だけで決めない
農林水産省によると、テンの夏毛は顔が黒く体が茶褐色で、冬毛は顔が白く体が明るい黄色になります。
国土交通省太田川河川事務所も、冬は鮮やかな黄色の「キテン」と灰褐色のままの「スステン」に分かれるとしています。
冬に顔が白っぽくなったテンを見ると、ハクビシンと見間違えやすくなります。
このような場合でも、額から鼻先に細い線が1本通っているかどうかで区別できます。
顔色だけで判断せず、線の有無を確認することが大切です。
姿を見ていない場合、痕跡で見分ける
ためフンの習性と、落ちている場所
ハクビシンには同じ場所に排泄する習性があり、天井のシミや悪臭の原因になります。
国立環境研究所によると、ねぐらのほか、通路上の側溝や溜まり水にも糞をする場合があるとされています。
環境省生物多様性センターは、家屋侵入により糞尿を排泄するため、天井のシミ汚れや異臭が生じる場合が多いとしています。
フンを見つけた場合の詳しい確認方法は、フンが落ちているで解説しています。
足跡の形
農林水産省によると、ハクビシンは前肢・後肢とも丸形の5本指で、分厚い肉球を持っています。
この形状を押し付けて挟むように上り下りするため、雨樋のような滑らかな柱でも登れるとされています。
天井裏の音だけでは決まらない
音の種類だけから動物の種類を特定することはできません。
住まいるダイヤルによると、木造住宅では冬の乾燥時や天井裏と室内の温度差が大きい時に、木材の乾燥による軋み音が数年にわたり生じることがあります。
この軋み音は、必ずしも施工上の瑕疵によるものではないとされています。
住まいるダイヤルは国土交通大臣指定の住宅相談窓口で、住宅の不具合に関する電話・専門家相談を無料で受け付けています。
つまり、音がしたからといって動物とは限らず、痕跡による確認が必要です。
音が気になる場合は、屋根裏で音がするもあわせてご覧ください。
テンは害獣なのか。ハクビシンは何が問題なのか
ハクビシンについては、農林水産省が令和5年度の全国の農作物被害額を約3億6500万円としています。
また、東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンが媒介する感染症として、レプトスピラ症、E型肝炎、サルモネラ感染症、疥癬などを挙げています。
これらの感染症については、名称にとどめます。
気になる症状がある場合は医療機関へ相談してください。
なお、これらはハクビシンについての記述であり、テンについて同様の被害額や感染症の出典は確認できていません。
テンやハクビシンが嫌がるものはあるか
害獣対策の窓口によると、超音波装置は1種類の音だけでは慣れてしまう可能性があると案内されています。
超音波が届く範囲には限界があり、1か所に置くだけでは足りない場合があるとも案内されています。
装置によって対象の動物が異なるため、ハクビシンに有効かどうかは事前の確認が必要です。
また、唐辛子に含まれるカプサイシンの匂いを嫌う傾向があるとされ、これを使った忌避剤が市販されています。
ただし、音や忌避剤だけで一時的に離れても、侵入口をふさがなければ戻られる場合があります。
法律上、どの動物も許可なく捕獲できない
ハクビシン・テン・イタチはいずれも鳥獣保護管理法の対象で、許可なく捕獲・殺傷することはできません。
捕獲するには市区町村等の許可が必要です。
わなの貸出制度がある自治体もありますが、条件は自治体ごとに異なります。
たとえば狛江市の箱わな貸出は、1日1回以上の見回りが条件で、貸出期間は原則3週間です。
東京都内の有害鳥獣捕獲許可の申請先は、23区内が東京都環境局、多摩地区が東京都多摩環境事務所です。
環境省は、狩猟鳥獣として「テン(ツシマテンを除く)」を指定しています。
ハクビシンは特定外来生物には指定されていません。
ただし、狩猟鳥獣に指定されていることと、住宅被害を理由に捕獲してよいことは別の制度です。
住宅の被害で捕獲する場合も、市町村長等の許可が必要です。
また、動物が中にいる状態で侵入口を塞ぐと、閉じ込めになってしまいます。
封鎖は、動物が出ていったことを確認してから行ってください。
種類が分かったあと、何をするか
駆除の作業は、「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程に分かれます。
封鎖をしなければ、同じ場所からの再侵入が続きます。
自治体の制度でも、対応できる範囲は工程ごとに区切られていることが多いです。
たとえば上尾市は、屋内への住み着き等で市が対応できない場合、防除業者への相談が必要で、費用は自己負担になると明記しています。
費用がどのように決まるかは動物の種類や被害の程度によって変わるため、金額については費用の考え方で確認してください。
実際に依頼する業者選びで迷う場合は、いい業者の見つけ方も参考にしてください。
自治体の制度が使えるか確認する
自治体の制度は、名前が挙がっている自治体ごとに条件が異なります。
町田市は、アライグマ・ハクビシン防除事業としてわなの設置・捕獲・処分を無料で行いますが、消毒と封鎖は自己負担で、設置期間は最長3週間です。
目黒区は、箱わなの貸出と回収費用を負担しますが、清掃・消毒と封鎖は自己負担で、区内在住・糞尿被害の実在・立会いが条件、年度1回限りです。
船橋市は、アライグマ・ハクビシン限定のワナを無料貸出しし、設置期間は最大8週間です。
横浜市は、住居内への侵入被害に限り無料で捕獲・回収しますが、庭での目撃や池の被害は対象外で、一人当たり2週間まで年1回限りです。
上尾市は、ハクビシンについて被害がある場合のみ捕獲許可の対象とし、目撃のみでは捕獲できないとしています。
お住まいの自治体で使える制度があるかどうかは、自治体の制度のページから確認してください。