先に結論。丸い肉球の5本指が、並んで続いているか
足跡を見分ける軸は3つだけです。
まず前肢・後肢とも丸形の5本指で、分厚い肉球があるか。
次に、顔の白い線などの姿の特徴は、足跡だけを見ている段階では使えません。
そして足跡だけで正体を確定させず、フン・音・食べ跡と合わせて判断します。
全体像はハクビシンの見分け方と駆除にまとめてあります。
足跡の場所を手早く確認したい方は足跡があるからも入れます。
ハクビシンの足跡の特徴|指の本数と肉球の形から見る
農林水産省は、ハクビシンの前肢・後肢とも丸形の5本指で、分厚い肉球を持つとしています。
国立環境研究所は頭胴長をメス61センチ・オス66センチ、尾長40センチ、体重約3キロとしています。
町田市は頭から尾の先までの長さを90〜110センチ、足が短いとしています。
体重3キロ前後の動物が付ける跡だと分かると、足跡の深さや大きさの見当がつきやすくなります。
詳しい体格はハクビシンの大きさで確認できます。
指を数える|5本か、それより少ないか
ハクビシンは前肢・後肢とも5本指です(農林水産省)。
ただし泥や雪の状態によっては、指がすべて写らないことがあります。
1つの跡だけで判断せず、複数の跡を見て確認してください。
肉球の形を見る|丸形で分厚い
農林水産省は、丸形の肉球、分厚い肉球と記述しています。
このページに掲載している図は特徴を示すためのものです。
判断するときは、実際に残っている跡の輪郭を自分の目で確認してください。
足跡が付いている「場所」で絞る|地面だけを見ない
ハクビシンは木登りが得意で、屋根や電線から侵入します。
農林水産省は、分厚い肉球を押し付けて挟むように上り下りするため、雨樋のような滑らかな柱でも登れるとしています。
そのため地面だけでなく、雨樋・外壁・ベランダの手すり・室外機の上など、高い位置に泥や汚れの跡が残ることがあります。
農林水産省は、幅6センチ×高さ12センチ程度の隙間があれば屋内に侵入できるとしています。
通風口などから住居内へ侵入する場合が多く、壁の隙間の有無が侵入されやすさに影響します(農林水産省)。
農林水産省は、昭和30年代中頃から40年代後半に建築された建物で侵入率が最も高いとしています。
畑・家庭菜園で足跡を見つけたとき|食べ跡とフンを合わせて見る
ハクビシンは果実を好み、家庭菜園や果樹の被害も出ます。
国立環境研究所は、雑食性で果実や種子を好み、昆虫類、魚類、残飯等も食べるとしています。
農林水産省によると、令和5年度の全国の農作物被害額は約3億6500万円、被害面積は約0.3千ヘクタールです。
国立環境研究所は、ねぐらなどにため糞をする習性があり、通路上の側溝や溜まり水にも糞をする場合があるとしています。
畑では足跡に加えて、食べ跡とフンの位置を一緒に記録しておくと、あとで自治体や業者に説明するときの材料になります。
フンの特徴はハクビシンのフンの特徴で詳しく扱っています。
他の動物の足跡との見分け|アライグマ・タヌキ・イタチ・ネズミ
ハクビシンは前肢・後肢とも丸形の5本指で、分厚い肉球を持ちます(農林水産省)。
アライグマは特定外来生物に指定されており、生きたままの運搬・飼養・放出が禁止されています。
足跡が似て見える場合は、足跡だけで決めずに、フン・音・侵入口の位置を合わせて確認してください。
ネズミ(クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミ)は鳥獣保護管理法の対象外で、自力で駆除できます。
正体が変われば、取れる手段も変わります。
コウモリは鳥獣保護管理法の対象で、捕獲・殺傷はできず、追い出しと侵入口の封鎖で対応します。
ただし冬眠期(おおむね12〜3月)は追い出しができません。
横須賀市は、屋根裏や縁の下にムササビ・コウモリ・タヌキが棲みついた場合の相談への回答を公開しています。
タヌキとの見分けはタヌキとハクビシンの違いにまとめています。
足跡が不鮮明なときに見る、もう一つの手がかり
ハクビシンは同じ場所に排泄する習性(ためフン)があり、天井のシミや悪臭の原因になります。
環境省生物多様性センターは、家屋侵入により糞尿を排泄するため、天井のシミ汚れや異臭が生じる場合が多いとしています。
夜行性で、日中は天井裏などで休みます。
国立環境研究所は、昼間は樹洞・岩穴・人家の屋根裏等で休憩するとしています。
似た動物をまとめて確認したい場合はハクビシンに似た動物11種も参考になります。
その跡と音、動物ではない可能性も一度だけ確認する
木造住宅では、冬の乾燥時や天井裏と室内の温度差が大きい時に、木材の乾燥による軋み音が数年にわたり生じることがあります(住まいるダイヤル)。
この軋み音は必ずしも施工上の瑕疵ではなく、木材の自然な性質による可能性があるとされます。
マンションでは、給排水管のウォーターハンマー音や、ポンプ・エレベーターの振動が固体伝搬音として聞こえる例が報告されています。
天井のシミや水音も、雨漏りではなく室内外の温度差による結露が原因の場合があります。
住まいるダイヤルは国土交通大臣指定の住宅相談窓口で、住宅の不具合に関する電話・専門家相談を無料で受け付けています。
音から正体を絞りたい場合は屋根裏で音がする。正体を音から絞るも参考にしてください。
ハクビシンが屋根裏に侵入しやすい時期はいつですか?
農林水産省は繁殖期を1〜9月、出産期を3〜11月と推定し、ほぼ年間を通じて繁殖するとしています。
国立環境研究所は出産期を3〜12月、産子数を1〜4頭としています。
天井裏で出産・育児をする場合があります(農林水産省)。
生後3か月で成獣と同程度の体重になります(農林水産省)。
明確な縄張りを持たず、複数のねぐらを他個体と共同または時間差で使うことがあります(農林水産省)。
年間を通じて繁殖するため、足跡に気づいた時点で季節を問わず確認を進める必要があります。
ハクビシンの天敵は?
国立環境研究所の分類では、哺乳綱 食肉目(ネコ目) ジャコウネコ科に属し、学名は Paguma larvata です。
環境省によると、2018年時点で北海道・山口県・九州沖縄地方の計10道県を除く37都府県で生息分布情報が得られています。
環境省生物多様性センターは、被害報告は年々増加しており、被害発生地域は都市部で拡大しているとしています。
住まいの周りで足跡が続いている状況は、天敵の存在だけで解決するものではありません。
天敵について詳しくはハクビシンの天敵は何かで扱っています。
ハクビシンは保護動物ですか?|足跡を見つけても捕まえられない
ハクビシンは鳥獣保護管理法上の狩猟鳥獣(獣類)に指定されています(環境省)。
この法律により、対象となる鳥獣は許可なく捕獲・殺傷することができません。
ハクビシンは特定外来生物に指定されていません。
環境省の特定外来生物等一覧にも記載はありません(環境省)。
ただし2015年公表の生態系被害防止外来種リストでは、重点対策外来種として掲載されています(環境省生物多様性センター)。
東京都は、許可のない捕獲は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になると案内しています(東京都環境局)。
捕獲許可の申請先は市区町村または都道府県の担当課で、被害状況の説明が求められます。
東京都内では、23区内が東京都環境局、多摩地区が東京都多摩環境事務所です(東京都環境局)。
栃木市では捕獲開始の10日前までに捕獲許可申請書の提出が必要で、わなは1日1回以上の見回りが義務づけられています。
対象以外の動物がかかった場合は直ちに放獣します。
許可なく鳥獣を捕獲した場合、鳥獣保護管理法違反として罰則を受ける可能性があります(栃木市)。
足跡だけで自治体に頼めるのか|名前の出ている市区の条件
上尾市は、ハクビシンは被害がある場合のみ捕獲許可の対象で、目撃のみでは捕獲できないとしています。
足跡を見ただけの段階では、対象にならない可能性があります。
上尾市は、屋内への住み着き等で市が対応できない場合、防除業者への相談が必要で費用は自己負担と明記しています。
町田市はアライグマ・ハクビシン防除事業として、わなの設置・捕獲・処分を無料で行っていますが、消毒と侵入口の封鎖は自己負担で、わなの設置期間は最長3週間、延長はできません。
板橋区は平成29年度からハクビシン・アライグマの捕獲駆除事業を行っていますが、侵入路の封鎖、ふん尿の撤去、消毒は区の事業の対象外です。
目黒区は箱わなの貸出と捕獲動物の回収費用を負担しますが、糞尿の清掃・消毒と侵入口の封鎖は自己負担で、区内在住・糞尿被害の実在・立会いが条件、年度1回限りです。
横浜市は住居内への侵入被害に限り市契約業者による捕獲・回収を無料で行いますが、庭での目撃や池の被害は対象外で、一人当たり2週間まで、年1回限りです。
狛江市の箱わな貸出は、1日1回以上の見回りが条件で、貸出期間は原則3週間です。
船橋市はアライグマ・ハクビシン限定の捕獲用ワナを無料貸出し、設置期間は最大8週間です。
千葉市は生活被害を受けた人を対象に箱ワナを貸し出し、貸出期間は原則設置日から1か月間です。
戸田市は箱わなによる捕獲を無料で実施しますが、初回設置時を除きエサは利用者が用意します。
八王子市は獣害対策課がアライグマ・ハクビシン捕獲用の箱わなを貸し出しています。
これらはここに挙げた自治体のものであり、ほかの市区町村に同じ事業があるかは確認していません。
お住まいの市区町村の担当課で、対象の動物と条件を確認してください。
自治体の制度は年度で変わることがあります。
自治体の制度についても確認しておくと安心です。
足跡の次にやること|記録して、どこまで自分でやるか決める
足跡の位置、付いていた高さ、日付を記録しておくと、自治体への被害説明や業者への相談で材料になります。
駆除作業は「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程に分かれます。
封鎖をしないと再発します。
名前の出ている自治体の事業でも、清掃・消毒・封鎖が自己負担とされている例があります(町田市・板橋区・目黒区)。
農林水産省は、ノミやダニが付いており、それらが媒介する病気があるとしています。
東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンが媒介する主な感染症として、レプトスピラ症、E型肝炎、サルモネラ感染症、疥癬などを挙げています。
体調に不安があれば医療機関へ相談してください。
町田市は民間業者の相談先として、公益財団法人東京都ペストコントロール協会(03-3254-0014)を案内しています。
賃貸住宅の場合、費用負担は管理会社または貸主との取り決めによります。
