このページで分かること
ハクビシンだと思った動物が、実はタヌキやアナグマ、テンだったという相談は少なくありません。
このページでは、顔の模様・体の大きさ・尾の長さ・隙間の幅・フンの特徴という具体的な手がかりから、11種類の動物を見分ける方法をまとめています。
姿を見ていない場合の絞り込み方、見分けたあとに取れる対応の違い、自治体の制度まで、このページだけで全体像をつかめるようにしています。
細かい手順は、各項目から専用の記事へ進んでください。
ハクビシンかどうかは、顔の白線だけでは決まらない
ハクビシンは体色が灰褐色で、顔面と四肢の下部は黒褐色、額下部から鼻先の中央に白線が入ります(国立環境研究所)。
ただし農林水産省は、アナグマも鼻筋が白い点でハクビシンに間違われることが多いとしています。
つまり鼻筋の白さだけでは、この2種を分けられません。
体の大きさも手がかりになります。
国立環境研究所は頭胴長をメス61センチ・オス66センチ、尾長40センチ、体重約3キロとしています。
町田市は頭から尾の先までの長さを90〜110センチ、足が短いと案内しています(出典:町田市「アライグマ・ハクビシン防除事業」)。
照合に使うのは、顔のどこが白くどこが黒いか、尾が頭胴長の半分以上あるか、体重がキロ単位でどれくらいか、という3点です。
どれか1つではなく、3点を合わせて絞り込みます。
なお前肢・後肢は丸形の5本指で、分厚い肉球を持ちます(農林水産省)。
ハクビシンに似た動物11種を、体の大きさの数値で並べる
姿や声の特徴が曖昧でも、体の大きさの数値なら比較しやすくなります。
- ハクビシン|頭胴長メス61センチ・オス66センチ、尾長40センチ、体重約3キロ(国立環境研究所)
- タヌキ|尾まで含め50〜70センチ、体重平均4キロ程度(農林水産省)。東京都環境局の資料では胴長45〜55センチ程度
- アナグマ|鼻先から尾の先まで60〜90センチ、体重4〜15キロ、オスがメスより大きい(農林水産省)
- アライグマ|尾に輪状の模様があり、タヌキやハクビシンと見分けられる。前足が器用で戸や容器を開けることがある
- テン(ホンドテン)|頭胴長45センチ、尾長19センチ、体重1.1〜1.5キロ(国立環境研究所)
- イタチ|ニホンイタチのオスは頭胴長27〜37センチ・290〜650グラム、メスは16〜25センチ・115〜175グラム(国立環境研究所)
- ムササビ|頭胴長34〜48センチ程度、体重700〜1000グラム程度(大阪府立環境農林水産総合研究所)
- ニホンリス|頭胴長160〜220ミリ、体重250〜310グラム(愛知県)
- オコジョ|頭胴長16〜18センチ、尾長5〜13センチ、体重80〜105グラム(岐阜県)
- イイズナ|オス体長160ミリ・メス156ミリ、尾長24ミリで、世界最小の食肉目とされる(岩手県)
- ネズミ|クマネズミ15〜20センチ、ドブネズミ22〜26センチ、ハツカネズミ約6〜9センチ(東京都保健医療局)
- コウモリ(アブラコウモリ)|体長3〜5センチ、前腕長30〜35ミリ、体重5〜10グラム(前橋市)
体重で見ると、ハクビシン約3キロに対してテンは1.1〜1.5キロ、アナグマは4〜15キロと差が出ます。
ハクビシンとアナグマの違いは何ですか?
アナグマは顔全体が白っぽく、頭部から目の下にかけて黒い模様があります(農林水産省)。
千葉県の資料では、顔が細長いことが識別点とされています。
一方ハクビシンは、額下部から鼻先の中央に1本の白線が入り、顔面と四肢の下部は黒褐色です(国立環境研究所)。
農林水産省は、アナグマが鼻筋の白さでハクビシンに間違われることが多いとしています。
そのため見るべきは白さの有無ではなく、白い部分が顔全体に広がっているか、中央に1本の線として通っているかという出方の差です。
体格にも差があります。
アナグマは鼻先から尾の先まで60〜90センチ・体重4〜15キロ(農林水産省)、ハクビシンは体重約3キロ・尾長40センチです(国立環境研究所)。
足跡では、アナグマは指が5本で爪が長いとされます(東京都環境局)。
ハクビシンの前後肢も丸形の5本指で分厚い肉球を持ち、この肉球を押し付けて挟むように上り下りするため、雨樋のような滑らかな柱でも登れます(農林水産省)。
さらに細かい照合はアナグマとハクビシンの見分け方で扱っています。
タヌキとハクビシンはどう見分けますか?
タヌキは、目の周辺を覆う黒いアイマスク状の模様と、背中から前肢にかけての黒いバンドが特徴です(農林水産省)。
千葉県の資料では、耳の縁とヒゲが黒いこともタヌキの識別点とされています。
体の大きさは、尾まで含め50〜70センチ、体重平均4キロ程度です(農林水産省)。
足跡は指が4本で全体に丸く、ネコに似ますが爪痕は明瞭とされます(東京都環境局)。
対するハクビシンは、顔中央の白線、尾長40センチ、丸形5本指で分厚い肉球という特徴を持ちます(国立環境研究所・農林水産省)。
アイマスク状の模様があればタヌキ、顔中央に1本の白線があればハクビシン、という形で両方の特徴を照合します。
タヌキのため糞は生活エリアの境界に作られ、片付けてもすぐ作られる習性があります(農林水産省)。
横須賀市は、屋根裏や縁の下にタヌキが棲みついた場合の相談への回答を公開しています。
アライグマとハクビシン|尾の模様と、法律上の扱いが変わる
アライグマは尾に輪状の模様があり、タヌキやハクビシンと見分けられます。
前足が器用で、戸や容器を開けることがある点も特徴です。
見分け方だけでなく、法律上の扱いも大きく異なります。
アライグマは特定外来生物に指定されており、生きたままの運搬・飼養・放出が禁止されています。
一方ハクビシンは特定外来生物に指定されていません。
環境省の特定外来生物等一覧にも記載がなく、鳥獣保護管理法上の狩猟鳥獣(獣類)に指定されています(環境省)。
自治体が防除実施計画を定めている場合、従事者登録をした個人がアライグマを捕獲できることがあります。
ハクビシンが外来種として位置づけられている経緯は、ハクビシンは外来種なのかで扱っています。
テン・イタチと迷ったとき|体重と毛色の季節変化で分ける
テン(ホンドテン)は頭胴長45センチ、尾長19センチ、体重1.1〜1.5キロです(国立環境研究所)。
農林水産省のマニュアルは頭胴長40センチ前後、尾長20センチ前後としています。
テンは夏毛だと顔が黒く体が茶褐色、冬毛だと顔が白く体が明るい黄色になります(農林水産省)。
冬に鮮やかな黄色になる「キテン」と、灰褐色のままの「スステン」に分かれます(国土交通省 太田川河川事務所)。
尾は太いとされ、主に夜行性で日没後に活動し、夜明けに巣穴で休息します(同事務所)。
農林水産省は、中山間地域では家屋の屋根裏や物置を利用することがあるとしています。
イタチは胴が細長く、ニホンイタチのオスで頭胴長27〜37センチ・290〜650グラム、メスで16〜25センチ・115〜175グラムです(国立環境研究所)。
チョウセンイタチのオスは頭胴長28〜39センチ・650〜820グラムで、尾長が頭胴長の半分以上ある個体はチョウセンイタチと判別されます(環境省)。
毛色はニホンイタチが茶褐色〜赤褐色、チョウセンイタチはやや褐色がかった山吹色とされます(環境省)。
イタチは肛門腺から強い臭気を出します。
東大阪市は、都市部では昼夜とも活動すると案内しています。
体重で見ると、ハクビシン約3キロに対し、テンは1.1〜1.5キロ、ニホンイタチは1キロに満たない重さです。
詳細な照合はテンとハクビシンの見分け方、テンとイタチの間の違いはテンとイタチの違いで扱っています。
オコジョ・イイズナ・ムササビ・リスと迷ったとき|分布と活動時間で絞る
オコジョは、岐阜県の資料で頭胴長16〜18センチ、尾長5〜13センチ、体重80〜105グラムとされます。
長野県山ノ内町の資料では体長15〜20センチ、体重160〜200グラムとされ、数値が食い違っています。
夏は背面が茶褐色で腹面が白色、冬は全身が白色になりますが、尾の先端は季節を問わず黒色のままです(岐阜県・環境省)。
山地帯から高山帯に生息し(岐阜県)、本州の東北から中部地方北部の山岳・高山地帯に分布するとされます(山ノ内町)。
イイズナは、夏毛が茶色、冬毛は全身白色になります(岩手県)。
本州亜種は青森県・秋田県・岩手県の一部地域に分布し、個体数はきわめて少ないとされます(環境省)。
ホンドオコジョ・エゾオコジョ・ニホンイイズナは、いずれも環境省レッドリスト2020で準絶滅危惧です。
ホンドオコジョは長野県の県指定天然記念物(1975年11月4日指定、出典:山ノ内町)でもあります。
ムササビは頭胴長34〜48センチ程度、体重700〜1000グラム程度で夜行性です(大阪府立環境農林水産総合研究所)。
横須賀市は、屋根裏や縁の下にムササビが棲みついた場合の相談への回答を公開しています。
ニホンリスは頭胴長160〜220ミリ、体重250〜310グラムで(愛知県)、昼行性で主に樹上で活動します(大阪府立環境農林水産総合研究所)。
ハクビシンは夜行性で、昼間は樹洞・岩穴・人家の屋根裏等で休憩します(国立環境研究所)。
昼に庭先の樹上で見た相手は、まずリスの可能性を検討する材料になります。
姿を見ていないとき|通れる隙間の幅で候補を絞る
音や気配だけで姿を見ていない場合は、通れる隙間の幅で候補を絞り込めます。
ハクビシンは幅6センチ×高さ12センチ程度の隙間があれば屋内に侵入できます(農林水産省)。
一辺8センチの正方形、直径9センチの円形の開口部から侵入できるとする業者の案内もあります(害獣駆除専門業者ホームスター)。
農林水産省は、通風口などから住居内へ侵入する場合が多く、昭和30年代中頃から40年代後半に建築された建物で侵入率が最も高いとしています。
イタチは3センチメートル四方の穴から出入りできます(大阪府)。
大阪市住吉区は、500円玉大にあたる3センチメートルの隙間から侵入すると案内しています。
ネズミは、東京都保健医療局がクマネズミについて1.25センチ以上の隙間を通り抜けられるとし、墨田区は1〜2センチ程度、江東区は約1.5センチ以上としています。
コウモリは1〜2センチの隙間から侵入します。
前橋市は、窓やドアの隙間、換気口・通気口、エアコン配管の隙間、屋根と壁の隙間からの侵入を挙げ、屋根裏・戸袋・換気口・軒下・瓦の下に入るとしています。
開いている穴が3センチ前後までなら、ハクビシンは候補から外れます。
駆除作業は「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程に分かれます。
中にいる状態で塞ぐと閉じ込めになるため、出ていったことを確認してから封鎖します。
侵入口を塞ぐ具体的な手順はハクビシンの対策方法、物音からの絞り込みは屋根裏の物音の原因で扱っています。
フンとにおいに出る差|ため糞か、小さな粒か
ハクビシンはねぐらなどにため糞をする習性があり、通路上の側溝や溜まり水にも糞をする場合があります(国立環境研究所)。
家屋侵入により糞尿を排泄するため、天井のシミ汚れや異臭が生じる場合が多いとされます(環境省生物多様性センター)。
タヌキのため糞は生活エリアの境界に作られ、片付けてもすぐ作られます(農林水産省)。
同じ「ため糞」という習性でも、作られる場所が違います。
ネズミの糞の大きさは、ハツカネズミが約0.5センチ、クマネズミが約1センチ、ドブネズミが約1〜2センチです(岡山市)。
ラットサインとは、通り道に体の脂と汚れが付いてできる黒光りしたこすり跡のことです(東京都保健医療局)。
常に出入りしている穴の縁に見られる場合が多いとされます(墨田区)。
イタチは肛門腺から強い臭気を出します。
大阪市住吉区は、天井裏を走り回る騒音と、尿・糞の臭いを被害として挙げています。
現場の写真ではなく、フンの大きさと落ちている場所で候補を絞る、という手順になります。
住みつかれた場合に出てくる被害(ハクビシンの場合)
ハクビシンは天井裏で出産・育児をする場合があります(農林水産省)。
国立環境研究所は出産期を3〜12月、産子数を1〜4頭としています。
農林水産省は繁殖期を1〜9月、出産期を3〜11月と推定し、ほぼ年間を通じて繁殖するとしています。
生後3か月で成獣と同程度の体重になります(農林水産省)。
農林水産省は、ノミやダニが付いており、それらが媒介する病気があるとしています。
東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンが媒介する主な感染症としてレプトスピラ症、E型肝炎、サルモネラ感染症、疥癬などを挙げています。
体調に不安がある場合は、医療機関へ相談してください。
種類が決まると、できることが変わる
鳥獣保護管理法により、対象となる鳥獣は許可なく捕獲・殺傷することができません。
捕獲許可の申請先は市区町村または都道府県の担当課で、被害状況の説明が求められます。
東京都は、許可のない捕獲は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になると案内しています(東京都環境局)。
東京都内の申請先は、23区内が東京都環境局、多摩地区が東京都多摩環境事務所です。
アライグマが庭に出たらどうしたらいいですか?
アライグマは特定外来生物に指定されており、生きたままの運搬・飼養・放出が禁止されています。
捕まえて別の場所へ運ぶ対応はとれません。
横浜市は、住居内への侵入被害に限り、市契約業者による捕獲・回収を無料で行っています。
庭での目撃や池の被害は対象外で、一人当たり2週間まで、年1回限りです(出典:横浜市)。
上尾市は、ハクビシンは被害がある場合のみ捕獲許可の対象で、目撃のみでは捕獲できないとしています。
この制度は横浜市のものです。
ほかの市区町村に同じ事業があるかは確認していません。
お住まいの市区町村の担当課で、対象の動物と条件を確認してください。
アナグマが出たらどうすればいいですか?
アナグマは現行の狩猟鳥獣20種に含まれます(環境省)が、鳥獣保護管理法により許可なく捕獲・殺傷することはできません。
栃木市では、捕獲開始の10日前までに捕獲許可申請書の提出が必要です。
わなは1日1回以上の見回りが義務づけられ、対象以外の動物がかかった場合は直ちに放獣します(出典:栃木市)。
許可なく鳥獣を捕獲した場合、鳥獣保護管理法違反として罰則を受ける可能性があります(出典:栃木市)。
対象の動物を見分けたうえで、お住まいの自治体の担当課に条件を確認することが、最初の一歩になります。