ハクビシンとは|ジャコウネコ科の動物で、顔の中央に白い線が通る
ハクビシンは、鼻から額にかけて白い線が通るのが見た目の特徴の動物です。
もともと日本にいなかった外来種で、夜行性・雑食性で天井裏に住み着き、糞尿による被害を出します。
狩猟鳥獣に指定されており、許可なく捕まえることはできません。
見分け方や駆除の全体像はハクビシンの見分け方と駆除で扱っています。
学名は Paguma larvata で、国立環境研究所の侵入生物データベースの分類では哺乳綱 食肉目(ネコ目)ジャコウネコ科に属します。
原産地はヒマラヤ、中国南部、台湾、マレー半島、スマトラ、ボルネオとされます。
江戸時代に持ち込まれた記録があり、戦時中にも毛皮用に持ち込まれたとされます。
遺伝子解析の結果、日本のハクビシンは台湾などから入ってきた外来種と結論づけられています(環境省生物多様性センター)。
特定外来生物には指定されていませんが、2015年公表の生態系被害防止外来種リストでは重点対策外来種として掲載されています。
1943年に静岡県で初めて記録され、2018年時点で北海道・山口県・九州沖縄地方の計10道県を除く37都府県で生息分布情報が得られています。
外来種の位置づけについてはハクビシンは外来種|特定外来生物ではない理由で詳しく扱っています。
ハクビシンの見た目|体色・尾の長さ・丸い5本指の肉球
町田市は、頭から尾の先までの長さを90〜110センチ、足が短いとしています。
国立環境研究所は頭胴長をメス61センチ・オス66センチ、尾長40センチ、体重約3キロとしています。
体色は灰褐色で、顔面と四肢の下部は黒褐色、額下部から鼻先の中央に白線が入ります(国立環境研究所)。
前肢・後肢とも丸形の5本指で、分厚い肉球を持ちます(農林水産省)。
この肉球を押し付けて挟むように上り下りするため、雨樋のような滑らかな柱でも登れます(農林水産省)。
全長は約90〜140センチとされ、害獣のなかでは大型に分類されます(害獣対策の窓口)。
詳しい大きさと通れる隙間の比較はハクビシンの大きさと通れる隙間にまとめています。
ハクビシンの生態|夜行性・雑食・ほぼ年間を通して繁殖する
夜行性で、日中は天井裏などで休みます。
国立環境研究所は、昼間は樹洞・岩穴・人家の屋根裏等で休憩するとしています。
雑食性で、果実や種子を好みます。
昆虫類、魚類、残飯等も食べます(国立環境研究所)。
国立環境研究所は出産期を3〜12月、産子数を1〜4頭としています。
一方、農林水産省は繁殖期を1〜9月、出産期を3〜11月と推定し、ほぼ年間を通じて繁殖するとしています。
生後3か月で成獣と同程度の体重になります(農林水産省)。
明確な縄張りを持たず、複数のねぐらを他個体と共同または時間差で使うことがあります(農林水産省)。
ため糞という習性
ねぐらなどにため糞をする習性があり、通路上の側溝や溜まり水にも糞をする場合があります(国立環境研究所)。
同じ場所に排泄するため、天井のシミや悪臭の原因になります。
ハクビシンが家に来る理由は何ですか?
木登りが得意で、屋根や電線から侵入します。
農林水産省は、幅6センチ×高さ12センチ程度の隙間があれば屋内に侵入できるとしています。
一辺8センチの正方形、直径9センチの円形の開口部から侵入できるとする業者の案内もあります(害獣駆除専門業者ホームスター)。
通風口などから住居内へ侵入する場合が多く、壁の隙間の有無が侵入されやすさに影響します(農林水産省)。
農林水産省は、昭和30年代中頃から40年代後半に建築された建物で侵入率が最も高いとしています。
果実を好むため、家庭菜園や果樹のある家の周辺で被害が出ます。
天井裏で出産・育児をする場合もあります(農林水産省)。
通れる隙間のサイズをさらに詳しく知りたい場合はハクビシンの大きさと通れる隙間をご覧ください。
ハクビシンの何がやばいのですか?|住まいと農作物に出る被害
家屋侵入により糞尿を排泄するため、天井のシミ汚れや異臭が生じる場合が多いとされます(環境省生物多様性センター)。
同じ場所に排泄するため、糞尿が一か所に蓄積します。
令和5年度の全国の農作物被害額は約3億6500万円、被害面積は約0.3千ヘクタールです(農林水産省)。
被害報告は年々増加しており、被害発生地域は都市部で拡大しているとされます(環境省生物多様性センター)。
夜行性のため、住人が気づくきっかけは夜間の物音やフンであることが多いです。
天井のシミや物音に心当たりがある場合は、フンがあるから状況を確認できます。
ハクビシンに近づいてよいか|媒介する感染症と、素手で触らない理由
農林水産省は、ノミやダニが付いており、それらが媒介する病気があるとしています。
東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンが媒介する主な感染症として、レプトスピラ症、E型肝炎、サルモネラ感染症、疥癬などを挙げています。
フンや巣材に素手で触れないでください。
体調に異変が出たときは、医療機関を受診してください。
法律上どう扱われるか|狩猟鳥獣で、許可なく捕獲・殺傷できない
ハクビシンは鳥獣保護管理法上の狩猟鳥獣(獣類)に指定されています(環境省)。
クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミの3種は同法の対象外ですが、ハクビシンをはじめとする野生鳥獣は許可なく捕獲・殺傷することができません。
捕獲許可の申請先は市区町村または都道府県の担当課で、被害状況の説明が求められます。
東京都内の申請先は、23区内が東京都環境局、多摩地区が東京都多摩環境事務所です。
東京都は、許可のない捕獲は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になると案内しています。
栃木市では捕獲開始の10日前までに捕獲許可申請書の提出が必要で、わなは1日1回以上の見回りが義務づけられ、対象以外の動物がかかった場合は直ちに放獣します。
上尾市は、ハクビシンは被害がある場合のみ捕獲許可の対象で、目撃のみでは捕獲できないとしています。
なお、ハクビシンは特定外来生物に指定されていません。
一方でアライグマは特定外来生物に指定されており、生きたままの運搬・飼養・放出が禁止されています。
ハクビシンを見つけたらどうすればいいですか?
その場で捕まえようとしないでください。許可のない捕獲は法律違反になります。
駆除作業は「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3工程に分かれ、封鎖をしないと再発します。
糞や足跡、夜間の物音など、出ている症状を記録しておくと相談時に伝えやすくなります。
見つけたときの具体的な動き方はハクビシンを見つけたらにまとめています。
屋根裏にいる場合の対応はハクビシンが屋根裏にいる時を参考にしてください。
その特徴、本当にハクビシンか|似た動物と取り違えると扱いが変わる
ハクビシン側の目印は、鼻から額にかけての白線、全長90〜110センチで足が短い体つき、丸形の5本指と分厚い肉球です。
相手がアライグマなら特定外来生物として生きたままの運搬・飼養・放出が禁止され、扱いが変わります。
ネズミ(クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミ)は鳥獣保護管理法の対象外で、自力で駆除できます。
コウモリは鳥獣保護管理法の対象で、捕獲・殺傷はできず、追い出しと侵入口の封鎖で対応します。
ただしコウモリは追い出し以外の方法が原則とれず、冬眠期にあたるおおむね12〜3月は追い出しもできません。
屋根裏の音が動物とは限りません。
木造住宅では、冬の乾燥時や天井裏と室内の温度差が大きい時に、木材の乾燥による軋み音が数年にわたり生じることがあります(住まいるダイヤル)。
似た動物との見分けはハクビシンに似た動物11種、音からの絞り込みは屋根裏で音がする。正体を音から絞るで扱っています。
捕獲を自治体に任せられるか|名前の出ている市区の事業と条件
町田市はアライグマ・ハクビシン防除事業として、わなの設置・捕獲・処分を無料で行っています。
ただし消毒と侵入口の封鎖は自己負担で、わなの設置期間は最長3週間、延長はできません。
板橋区は平成29年度からハクビシン・アライグマの捕獲駆除事業を行っていますが、侵入路の封鎖、ふん尿の撤去、消毒は区の事業の対象外で、自分で業者へ依頼する必要があります。
目黒区は箱わなの貸出と捕獲動物の回収費用を負担しますが、糞尿の清掃・消毒と侵入口の封鎖は自己負担です。
区内在住・糞尿被害の実在・立会いが条件で、年度1回限りです。
横浜市は住居内への侵入被害に限り、市契約業者による捕獲・回収を無料で行います。
庭での目撃や池の被害は対象外で、一人当たり2週間まで、年1回限りです。
船橋市はアライグマ・ハクビシン限定の捕獲用ワナを無料貸出し、設置期間は最大8週間です。
狛江市の箱わな貸出は、1日1回以上の見回りが条件で、貸出期間は原則3週間です。
千葉市は生活被害を受けた人を対象に箱ワナを貸し出し、貸出期間は原則設置日から1か月間です。
戸田市は箱わなによる捕獲を無料で実施しますが、初回設置時を除きエサは利用者が用意します。
八王子市は獣害対策課がアライグマ・ハクビシン捕獲用の箱わなを貸し出しています。
ここで挙げたのは町田市・板橋区・目黒区・横浜市・船橋市・狛江市・千葉市・戸田市・八王子市の事業です。
ほかの市区町村に同じ事業があるかは確認していません。
お住まいの市区町村の担当課で、対象の動物と条件を確認してください。
制度の探し方は自治体の制度にまとめています。
自分で動く範囲と、人に任せる範囲の分かれ目
捕獲には許可が要るため、自分で完結できるのは侵入されにくくする手当てと、清掃・消毒・封鎖の手配までです。
自治体の事業を使った場合でも、清掃・消毒と侵入口の封鎖が自己負担として残る例があります(町田市・板橋区・目黒区)。
封鎖まで終えないと再発します。
上尾市は、屋内への住み着き等で市が対応できない場合、防除業者への相談が必要で費用は自己負担と明記しています。
町田市は民間業者の相談先として公益財団法人東京都ペストコントロール協会(03-3254-0014)を案内しています。
賃貸住宅の場合、費用負担は管理会社または貸主との取り決めによるため、着手前に確認してください。
