住まいに出た動物によって、取れる対策は大きく変わります。
ネズミは自分で駆除できますが、コウモリやハクビシンなどは法律で守られており、無許可で捕まえたり殺したりできません。
まずは動物を見分け、その動物に合った進め方を確認することが、遠回りに見えて一番早い対策です。
動物ごとの扱いの全体像は、害獣とは|住まいに出る動物の一覧と法律で決まる扱いの違いにまとめています。
害獣対策は「動物が何か」を決めてから始まる
住まいに動物が出たとき、最初に必要なのは駆除の方法を探すことではありません。
出た動物が何かを決めることです。
動物の種類によって、取れる手段がまったく変わります。
鳥獣保護管理法により、対象となる鳥獣は許可なく捕獲・殺傷することができません。
一方で、クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミのいえねずみ類3種は、この法律の対象外で、自分で駆除することができます。
アライグマは特定外来生物に指定されており、生きたまま運んだり、飼ったり、逃がしたりすることが禁止されています。
コウモリは鳥獣保護管理法の対象で、捕まえたり殺したりすることはできず、追い出しと侵入口の封鎖で対応します。
このように、同じ「天井裏に動物がいる」という状況でも、動物によって合法的に取れる手段は違います。
害獣にはどんな種類がいる?住まいに出る動物と法律上の扱い
住まいに出る動物のうち、ハクビシン、イタチ、タヌキ、コウモリ、ムササビは鳥獣保護管理法の対象となる鳥獣です。
これらは許可なく捕獲・殺傷できません。
アライグマは特定外来生物に指定されており、生きたままの運搬・飼養・放出が禁止されています。
ネズミ3種(クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミ)は鳥獣保護管理法の対象外で、自分で駆除できます。
横須賀市は、屋根裏や縁の下にムササビ・コウモリ・タヌキが棲みついた場合の相談への回答を公開しています。
ハクビシンへの対策はハクビシン対策、イタチへの対策はイタチ対策、コウモリはコウモリの追い出し方、アライグマはアライグマ駆除|許可の要否・自治体の制度、ネズミは天井裏・屋根裏のネズミで、それぞれの動物に合わせた対応を説明しています。
許可なく捕獲すると罰則の対象になる
栃木市は、許可なく鳥獣を捕獲した場合、鳥獣保護管理法違反として罰則を受ける可能性があると案内しています。
「天井裏にいるから」「困っているから」という理由だけで、自分で捕獲や駆除をすることはできません。
対象の動物であれば、まず捕獲許可の手続きを確認する必要があります。
追い出しだけで終わらせない。対策の3工程
害獣対策の作業は、「追い出し・捕獲」「清掃・消毒」「侵入口の封鎖」の3つの工程に分かれます。
追い出しや捕獲だけで終わらせると、同じ場所からまた別の個体が侵入します。
侵入口を塞がない限り、被害は再発します。
コウモリは鳥獣保護管理法の対象で捕獲・殺傷ができないため、追い出しと侵入口の封鎖の組み合わせで対応することになります。
ただし、コウモリの追い出しには時期の制限があります。
冬眠期(おおむね12〜3月)は追い出し自体ができません。
通風口や換気口などの隙間は、動物の種類を問わず侵入経路になりやすい場所です。
中に動物が残ったまま封鎖すると、閉じ込めてしまうことになります。
封鎖は、動物が出ていったことを確認してから行う必要があります。
音やシミが出ても、動物とは限らない
天井裏で音がしたり、天井にシミができたりしても、原因が動物とは限りません。
木造住宅では、冬の乾燥時や天井裏と室内の温度差が大きい時に、木材の乾燥による軋み音が数年にわたり生じることがあります。
この軋み音は、必ずしも施工上の欠陥ではなく、木材の自然な性質による場合があるとされています。
マンションでは、給排水管のウォーターハンマー音や、ポンプ・エレベーターの振動が、固体伝搬音として聞こえる例も報告されています。
天井のシミや水音も、雨漏りではなく、室内外の温度差による結露が原因の場合があります。
動物以外の原因が疑われる場合は、国土交通大臣指定の住宅相談窓口である住まいるダイヤルで、住宅の不具合に関する電話・専門家相談を無料で受けられます。
音から動物の正体を絞りたい場合は、屋根裏で音がする。正体を音から絞るを参考にしてください。
ハクビシンが嫌いな匂いは何ですか?忌避剤でできること
ハクビシンは、唐辛子に含まれるカプサイシンの匂いを嫌う傾向があるとされ、これを使った忌避剤が市販されています(出典:害獣対策の窓口)。
ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象となる鳥獣で、許可なく捕獲・殺傷することはできません。
忌避剤による追い出しは、許可なく行える対応のひとつです。
ただし、忌避剤は追い出しの手段にすぎません。
忌避剤で動物を遠ざけても、侵入口を塞がなければ再発します。
追い出しのあとの清掃・消毒と侵入口の封鎖まで含めて、初めて対策が完了します。
ハクビシンそのものの特徴や侵入口の塞ぎ方は、ハクビシン対策で詳しく扱っています。
超音波装置は効くのか。買う前に確認する3点
超音波装置を購入する前に、確認しておきたい点が3つあります。
1つ目は、1種類の音だけでは動物が慣れてしまう可能性があることです。
これは駆除業者自身が案内している内容です(出典:害獣対策の窓口)。
2つ目は、超音波が届く範囲には限界があり、1か所に置くだけでは足りない場合があることです。
部屋や屋根裏の広さによっては、複数台の設置が必要になる場合があります。
3つ目は、装置によって対象の動物が異なることです。
ハクビシンに有効かどうかは、購入前に製品ごとに確認する必要があります。
「置けば終わり」ではなく、慣れ・範囲・対象動物の3点を確認してから選ぶことが欠かせません。
超音波やグッズの効き方と限界については、ハクビシン撃退|音・超音波・グッズの効き方と限界でさらに詳しく扱っています。
捕獲には許可がいる。申請先と手続きの実際
鳥獣保護管理法の対象となる動物を捕獲するには、許可が必要です。
申請先は市区町村または都道府県の担当課で、被害状況の説明が求められます。
栃木市では、捕獲開始の10日前までに捕獲許可申請書を提出する必要があります。
また、わなは1日1回以上見回ることが義務づけられており、対象以外の動物がかかった場合は直ちに放獣することになっています。
これは栃木市の手続きであり、ほかの市区町村で同じ運用かどうかは確認できていません。
お住まいの市区町村の担当課で、対象になる動物と申請の条件を確認してください。
自治体の制度は自治体の制度でも紹介しています。
町田市・板橋区の捕獲事業では、どこまでが市区の負担か
町田市は、アライグマ・ハクビシン防除事業として、わなの設置・捕獲・処分を無料で行っています。
ただし、消毒と侵入口の封鎖は自己負担で、わなの設置期間は最長3週間、延長はできません(出典:町田市)。
町田市は、民間業者の相談先として、公益財団法人東京都ペストコントロール協会(03-3254-0014)を案内しています。
板橋区は、平成29年度からハクビシン・アライグマの捕獲駆除事業を行っています。
この事業では、侵入路の封鎖、ふん尿の撤去、消毒は対象外で、自分で業者に依頼する必要があります(出典:板橋区)。
これらは町田市と板橋区の事業で、ほかの市区町村に同じ事業があるかは確認できていません。
自治体の制度は年度によって変わることがあるため、お住まいの市区町村の担当課で、対象の動物と条件を確認してください。
どちらの事業でも、捕獲までで終わりで、封鎖をしなければ再発するという点は共通しています。
自治体ごとの制度は自治体の制度にまとめています。
賃貸住宅で動物が出たときの進め方
賃貸住宅の場合、費用負担は管理会社または貸主との取り決めによります。
建物の封鎖工事は建物側の工事にあたるため、自分で業者を手配する前に、管理会社または貸主へ連絡してください。
先に自分で業者へ依頼してしまうと、あとから費用負担や原状回復をめぐってトラブルになる場合があります。
動物の追い出しや清掃について相談する場合も、まずは管理会社または貸主に連絡し、建物としてどう対応するかを確認する流れになります。
自治体の捕獲事業を利用する場合も、建物の所有者の了承が必要になる場合があるため、合わせて確認しておくとよいでしょう。
自分でやる範囲と、業者に任せる範囲の線引き
ネズミ(クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミ)は鳥獣保護管理法の対象外で、自分で駆除できます。
一方、鳥獣保護管理法の対象となる動物は、許可なく捕獲・殺傷できません。
ここが、自分でできる範囲と、許可や業者が必要になる範囲の境目です。
清掃・消毒と侵入口の封鎖は、町田市・板橋区の事業でも自己負担とされており、自分で行うか、業者に依頼することになります。
フンや尿に触れる作業で体調に異変があれば、医療機関に相談してください。
自分で駆除できる範囲や費用の決まり方は、害獣駆除とは|自分でできる範囲・費用の決まり方で説明しています。
業者に依頼する場合の選び方は、いい業者の見つけ方を参考にしてください。